禁じられた魅惑の香り

夜になるほど、香りが強まるチュベローズの花。和名は月下香。中国では晩玉香とも呼ばれる香りです。媚薬としても使われてきたチュベローズの香りは、男性を惹きつけ、惑わす香りとして有名です。

昔、フランスでは、チュベローズの花畑の側を通ると我を忘れて愛し合ってしまうということから、夕暮れ以降はカップルが通行禁止になったという逸話もある夜の女王の香り。

チュベローズの個人的なお勧め香水をご紹介します。

Gucci: Bloom

トップノート: オレンジ、グリーンノート
ミドルノート: チュベローズ、ジャスミン・サンバック、 ハニーサックル
ラストノート: オリスルート、サンダルウッド、バニラ

チュベローズの香りにジャスミンとグリーンノートが効いて、爽やかな品のある香り。チュベローズの香水の中でも、使いやすさ・入手のしやすさ・コストパフォーマンス等々を考えると、こちらのグッチのブルームは、個人的には総合点が高い気がします。拡散性や持続性は高い方ではないと思うので、その点も使いやすいかも。

Givenchy: L’INTERDIT

トップノート: ベルガモット、洋ナシ、スミミザクラ
ミドルノート: オレンジブロッサム、チュベローズ、ジャスミン・サンバック
ラストノート: パチョリ、ベチバー、アンブロキシド、キャラメル、バニラ

ランテルディ(フランス語で禁止を意味するらしい)は、 オードリー・ヘップバーン が「私以外は使ってはダメ」と言ったため名づけられたという逸話があるのだけど、このランテルディは何度かリニューアルされているため初代のものはかなり違うらしい。トップのフルーティーさが混じったお菓子のような甘い匂いのあと、ジャスミンなどのフローラルな香りに。甘い香りだけど大人っぽさもあり、大胆さと可憐さもある甘美な香り。 甘いキャンディのようなチュベローズの香り。遊び心がある魅力的な大人の女性に似合いそう。

Diptyque: Do Son

ノート:チュベローズ、オレンジリーフ、ピンクペッパー、ムスク

シンプルにチュベローズの香りを楽しみたい場合に、お勧めなのがこちらのディプティックのドソン。ベトナムのリゾートDo Sonから名づけられたこの香水。チュベローズの香水の中で、生花に近い自然なチュベローズの香りグリーンでフレッシュなチュベローズ。クリーミー系のチュベローズが苦手な方にお勧めの香水です。

JO MALONE:TUBEROSE ANGELICA

トップノート: アンジェリカ
ミドルノート: チュベローズ
ラストノート: アンバー

チュベローズとアンジェリカのシンプルな香り。 誘惑の香りとセクシー面が強調されがちなチュベローズですが、チュベローズはリラックス効果も高い香りと言われているそう。私は気分がすぐれないとき、他のときには良いなと思った香水の香りに耐えられなくなる時があります。お風呂上りに香水をつけるのですが、気分も良くないし今日はやめておこうかなと思ったときに、自然と手が伸びたこちらの香水。シングルノートに近いシンプルな香り。軽すぎず、重すぎず。素敵な香りに包まれてリラックスしながらよく眠れます。 朝起きてもうっすら香りが残り、持続性も良いです。個人的に寝香水として愛用中。

Byredo: Flowerhead

トップノート: アンジェリカ、クランベリー、レモン
ミドルノート: ジャスミン・サンバック、チュベローズ、グリーンノート、ローズ
ラストノート: スエード、龍涎香

アンジェリカとチュベローズの組み合わせだけど、この香水はチュベローズの香りが、もっと鋭い香りになっている。チュベローズやジャスミンの白い花の凝縮された香りが、弾ける様に広がる。涼しさを爽快感もある香り。結構香りは強め。個人的には夏に合う香水だと思う。

Estee Lauder: Private Collection Tuberose Gardenia

トップノート:ネロリ、ライラック、ローズウッド
ミドルノート:チュベローズ、ガーデニア、オレンジブロッサム、ジャスミン、ウォーターリリー
ラストノート:カーネーション、ブルボンバニラ

日本未発売だけど人気が高いエスティローダーのプライベートコレクション チュベローズガーデニア。爽やかさとフェミニンさがバランスよく香る香水。生花のようなフレッシュな香りがします。個性が強く出がちなチュベローズですが、この香水はガーデニアやジャスミンの香りとともに優しく上品に香るので、普段使いがしやすい香水かなと思います。日本未発売で入手がちょっと面倒なところが難点。

Frederic Malle: Carnal Flower

ノート:ベルガモット、メロン、ユーカリ、イランイラン、ジャスミン、チュベローズ、ココナッツ、オレンジブロッサム、ホワイトムスク

チュベローズの香水と言えば必ず名前が挙がる、フレデリックマルカーナルフラワーどの香水よりも高濃度のチュベローズを使用していると言われる名香。青々しい香りがするトップから始まり、ココナッツとチュベローズの濃厚な甘い香りがする香水です。和訳すると肉欲の花という官能小説のような名前ですが、上品さもあり、甘さもあり、セクシーさもあるクリーミーなチュベローズの香りに中毒性を感じます。個人的にはこの香りがチュベローズ香水の中では一番好き。ただ香りが強いため、普段使いはちょっと難しく、持続性は高いけれど拡散性が低いヘアミストを愛用中。

Kilian: Beyond Love

ノート:チュベローズ、ジャスミン、グリーンノート、アンバー、ムスク

フレデリックマルと同じように高級香水ブランドとして有名な(日本の売り場もお隣同士)キリアンのチュベローズ香水。ちなみに、ブランド創業者で貴公子的な存在のキリアン・ヘネシーは、ご家族・奥様もチュベローズの香水を愛用しているそうで、チュベローズに思い入れがあるのだそう。Beyond Loveはココナッツが香るクリーミー系チュベローズ。甘さ加減は、カーナルフラワーのほうが濃厚な印象。個人的にはキリアンのチュベローズ香水では、次に紹介している香水のほうが好みです。

Kilian: Voulez-Vous Coucher Avec Moi

ノート:イランイラン、チュベローズ、ブルガリアローズ、バニラ、 サンダルウッド 、 ガーデニア 、シダー

キリアンのVoulez-Vous Coucher Avec Moi。フランス語は分からないので名前が覚えられない香水なのですが、私と寝る?という直球な名前だそうです。イランイランとチュベローズ、バニラの香りの香水。鮮やかな花の香りのトップから、イランイランの甘ったるい香りに、ローズのツンとした香りが程よく混ざり、うっとりする香りです。ラストはバニラの甘い香りがする変化があるところも好き。チュベローズが主役ではないですが、魅力的で素敵な香水。

Serge Lutens: Datura Noir

ノート:チュベローズ、ココナッツ、レモンブロッサム、ムスク 、トンカビーン、アーモンド、オレンジ、アプリコット、バニラ、 ヘリオトロープ 、 オスマンサス

「黒のダチュラ」。ダチュラは毒を持ち、摂取すると幻覚作用をもたらすこともある花なのだそう。そんなダチュラの名を持つ香水だけに、人を惑わすような複雑な香り。杏仁豆腐の香水と言われるようにアーモンドとココナッツが香る甘い顔と、冷たさや複雑な妖しさを感じる香水。他のチュベローズ香水とは違う、妖しげな雰囲気を持っている。フローラルな香水というよりは、アーモンド、ラストのバニラの香水の甘さの印象が強く感じる香水。個人的にアーモンドやトンカビーンを使った香水は苦手なことが多いのですが、これは惹かれてしまった香水。着けた人間も惑わす香水。

L’ARTISAN: Nuit de Tubereuse

トップノート:マンダリン、ピンクペッパー、グリーンマンゴー
ハートノート:チュベローズ、ローズ、エニシダ
ラストノート:シダーウッド、サンダルウッド、クローブウッド、レジン

ペッパーが効いている清涼感のある甘くないチュベローズの香水。チュベローズの香水は甘い感じの香水が多い気がしますが、これはちょっと他とは違うスパイシーなチュベローズの香水。男性も使いやすいかも。

Atelier Cologne: Cafe Tuberosa

トップノート: ベルガモット、マンダリン、カルダモン
ミドルノート: ローズオイル、チュベローズ、コーヒー
ラストノート: バニラ、カカオ

ちょっと変わった組み合わせなのが、アトリエコロンのCafe Tuberosa。上品な大人のコーヒーの香り。ミドルからチュベローズの甘い香りが漂いますが主役にはならず、 コーヒーの香りと合わさって濃厚な重めな香りに。フェミニンになりすぎず、男性でも使いやすい香水。全体的に、トムフォードのNoir de Noirとよく似ています。Noir de Noirのほうが濃厚で複雑な香りがしますが、香りが強すぎると感じる場合にはこちらも使いやすいかも。

香水を選ぶときには

香水はフルボトルを購入する前に、何度か実際につけてみて、自分の肌の上でどういう香りの変化をするか、何回か試してみたほうが失敗が少ないのでお勧めです。サンプルを購入するか、最近人気の毎月お試しできるサービスもお勧めです。

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